孤束核 / NTS(こそくかく、Nucleus Tractus Solitarius)
延髄にある、内臓感覚が脳へ入る最初の中継核。血圧を感じる圧受容器や、心臓・肺・消化管からの迷走神経を介した情報がここに集まり、疑核・視床下部・PAG等へ配られて、心拍・呼吸・血圧の自動調整(自律神経反射)の土台になる。呼吸に合わせ心拍がゆらぐ現象(呼吸性洞性不整脈, RSA)も、この経路(NTS-疑核)で作られる。
SRFでは〔解釈〕 自律神経の状態を、ポリヴェーガル理論ではなく LC/HPA・NTS-疑核-RSA・扁桃体-PAG の回路で記述する。心拍変動(HRV)は「迷走神経緊張」ではなく心臓迷走神経変調の指標として扱う。
出典:Ulrich-Lai YM, Herman JP. Nat Rev Neurosci. 2009;10(6):397–409.〔確定〕/ Kandel 6th ed(2021)自律神経系の章.
Tier:1-2(定義)/ 3(SRFでの位置づけ)
島皮質 / Insula(とうひしつ)
大脳外側溝の奥に隠れた皮質。心拍・呼吸・内臓感覚・体温・痛み・触れられた感じなど、身体内部の状態(内受容, interoception)を統合し、「今、身体はどんな状態か」という感覚を作る。この身体状態の把握が、情動や"なんとなくの感じ"の土台になると考えられている。
SRFでは〔解釈〕 安全判定の材料となる"身体の今の状態"を読む器官と位置づける。クライアントが感じる安心/違和感の身体的な下地として扱う。
出典:Craig AD. Nat Rev Neurosci. 2002;3:655–666.〔確定〕/ Craig AD. Nat Rev Neurosci. 2009;10(1):59–70.〔確定〕/ Kandel 6th ed(2021)内受容の章.
Tier:1-2(定義)/ 3(SRFでの位置づけ)
CT線維 / C触覚線維(C-tactile afferents)
有毛皮膚(手のひら・足裏を除く、毛のある皮膚)に分布する、伝導の遅い無髄の感覚線維。速い触覚線維が「何が・どこに触れたか」を伝えるのに対し、CT線維はゆっくり優しく撫でる刺激に最もよく応じ、その情報を主に後部島皮質へ送る。「心地よさ」を伴う情動的な触覚(affective touch)の担い手とされる。
SRFでは〔解釈〕 手当てや支持的な接触が、単なる力学的刺激でなく、島皮質を介した"安全の感覚入力"になりうる経路として位置づける。徒手的な関わりの一部をこの観点で捉える。
出典:McGlone F, Wessberg J, Olausson H. Neuron. 2014;82(4):737–755.〔確定〕/ Löken LS ほか. Nat Neurosci. 2009;12(5):547–548.〔確定〕/ Olausson H ほか. Nat Neurosci. 2002;5:900–904.〔確定〕.
Tier:1-2(定義)/ 3(SRFでの位置づけ)